不安というものへの対応法

現役の頃、試合が不安で仕方ない時期がありました。
それは、ミスをするのではないか、という恐れです。
形の試合では、体勢が一瞬でも崩れてしまうと大きな減点となり、負ける確率が高くなります。
なので、本番で100%体勢がぐらつかないよう、日頃から何度も繰り返し稽古するのですが、時に考え過ぎて、負のスパイラルに陥る場合もあります。

稽古で、よくこんな事がありました。
「あと、10本、ノーミスで続ければ、今日の稽古は終わりにしよう」
「8本目、できた」
「9本目、OK、完璧」
ヨシ!あと1本…
しかし、何故か最後の最後で、ミスをしてしまうのです。

今考えると、ノーミスで終わるノルマを自分に課す事にどれ程の意味があったのか、練習の終わり方にも問題がありました。
長時間の反復練習の後、フォームが崩れやすい状態では、技の精度も当然落ちるからです。

結局、また振り出しに戻ってしまい、試行錯誤を繰り返す日々が続き、不安を抱えたまま試合に臨むことになります。
そして「また失敗するのでないか」といった不安は、案の定的中しました。
また、ミスはしなかったとしても、攻めきれない消極的な演武では、なかなか勝つことができませんでした。

そんな、スランプに陥っていた、ある日の練習の帰り、ふと気付いたのです。
「試合で失敗したところで、自分の生活は何も変わらないじゃないか」
そもそも、何もない所からの遅いスタート。試合で負けた所で自分の人生が終わるわけでない…。
仕事や家庭を含めた日々の生活を、一段高い視点で俯瞰したことで、あくまで空手は生活の一部であり、人生の全てではないと冷静に思えるようになったのです。

以後は「最善の準備することだけにベストを尽くそう。あとは何とかなる」と、開き直れるようになりました。
また練習中のミスも必要以上に深掘りせず、「何ができて、何ができていないのか」のみ焦点をあて、事実を客観的に評価することに努めました。
やがて、少しずつですが、自分の力を出し切ることだけに集中できるようになり、たとえ結果が良くなくても、思い悩む事も無くなりました。

 


不安を持つという事は、最悪の事態を想定している事でもあり、決してマイナス面ばかりではありません。
しかしながら、四六時中、悪いイメージばかり連想していると、状況分析や柔軟な思考ができず、結果的に不安が的中してしまいます。

最近、この不安について興味深い記事がありましたので、少しだけご紹介します。
とある大学の研究では、人が不安に思う心配事の80%は、実際には起こらないという結果が出ているそうです。つまり、
大方の不安は、取り越し苦労であり、不安が現実となるケースは20%だけで、その内、16%は準備さえしていれば対応可能だというものです。
じゃあ、残り4%の不安は避けられないのか?という疑問が生じますが、(ここからは私の解釈です)もし96%の不安を払拭することができれば、残り4%の重大な心配事に集中して対策を講じることができるのではないでしょうか。

最後に、私が空手から学んだ経験から、不安と何なのか、また不安への対応について、見解をまとめましたので、ご参考になれば幸いです。

不安(心配事)とは
・危険を予知しようとする本能
・不安をなくしたいと思うほど不安は膨らむ
・疲労が蓄積するほど不安はエスカレートする

不安への対応
・まずは心と体を休める 
・何が不安なのか明確にする(書き出す)
・事実を整理して客観視する(実際に起こる可能性を評価する)
・腹をくくる(なるようになると考える)

生きている以上、不安や心配事はつきものです。かといって、楽天過ぎては危機管理ができませんし、気を揉み過ぎては心身ともに疲弊してしまいます。
なので、もし10コの不安を抱えていたとすれば、現状(事実)を客観視し、不安が的中する可能性を評価することで、6コもしくは7コの不安は捨て去る(考えないようにする)ことができるのではないでしょうか。
そして、残った数個の不安を「本当に向き合わないといけない事象」と捉まえ、真正面から向き合うことで、かなり有効なリスク管理になると思います。
つまり、適度に不安を持ち、いざという時に備えながら、目の前のやるべき事を粛々と実行していく。それが最善の不安への対応法と考えます。

 


◇お知らせ
7月より稽古を再開いたします。
毎週(金)20時~21時30分

【稽古に来られる皆様へのお願い】
①入館の際は、手洗い、もしくは、お手持ちの消毒液の使用をお願いいたします。②体調不良や、発熱、のどの痛みなどがある場合は、ご遠慮ください。
③せきやくしゃみの症状のある方は、ご遠慮ください。
④嗅覚や味覚に異常がある場合も、ご遠慮ください。
⑤2週間以内に、海外に行かれた方と接触があった方は、ご遠慮ください。
⑥稽古時にはマスクの着用をお願いいたします。

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